どんな展開で世界のファンドバブルが崩壊に向 かうか
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(1)まず、高騰したスペインの住宅価格です。
(2)そして、世界の不動産バブル、
(3)及び、価格下落の10年余を経て、わが国にも再来した株価
の上昇です。そして、都心部の一部での地価バブル。
スペインに行って、びっくりしたのが、スペインのイメージに合わ
ない至るところを掘り起こす建設工事と、不動産価格の高騰でした。
まるでスペインは、工事の普請中のようです。
15年前の不動産と株バブル、そして90年代のバブル崩壊を体験
したわれわれ日本人には、「上がりすぎたものは、合理的な価格に
まで下がる」ということが普通に了解できます。
不動産や株の価格=実需の合理的価格+投機のバブル価格
世界でもっとも冷静に、世界の不動産価格と株価を見ることにでき
るのは日本人です。上海の住宅が5000万円と聞けば、誰でも上
がりすぎと思う。この経験的知恵は、エコノミストの分析よりも貴
重です。
しかし不動産も株価も、実のところ、上がりすぎがどれくらいの価
格か、最適価格はどこか、この判断は難しい。この基準が分かるな
ら、投機で利益を得ることは容易です。合理的な価格の基準に照ら
し高すぎるものを売り、安すぎるものを買えばいい。
TBSの買収で話題の楽天の株価は、75300円(05.10.24)
時価総額(=会社の評価価値)は、8900億円です。05年2月
には、1兆円を超え1兆2000億円くらいだったのです。
簿価での純資産(簿価資産-負債)は、550億円に過ぎません。
http://quote.yahoo.co.jp/q?s=4755.q&d=c&k=c3&z=m&h=on
株価のひとつの有力な評価尺度であるPBR(Price Book Value
Ratio:株価純資産倍率=株価÷1株当たり簿価純資産)では16倍
です。
会社の実業である連結売上は455億円、当期利益は142億円の
赤字です(04.12月期) 赤字は、過去3年連続しています。
東証一部上場企業のPBRは、2倍付近です。
買収をうけたTBSの株価総時価は、村上ファンドと楽天が買いを
かける05年8月前は、PBR(株価純資産倍率)で1倍付近(株
価で2000円)を続けていました。つまり破格に安かった。
今は3410円と1.7倍に上がっています。
http://quote.yahoo.co.jp/q?s=%A3%D4%A3%C2%A3%D3&d=c&k=c3&h=on&z=m
赤字の楽天は、PBRで、一部上場企業平均の8倍も高い価格をつ
けています。自社の高すぎる株価にもっとも不安を感じているのが
三木谷社長本人でしょう。その焦燥が、不動産の実物資産を持ちな
がら、株価評価が低いTBSを買わせた。
一部上場企業並みなら、株価9487円(PBR2倍:時価総額1
100億くらい)の楽天が、8倍の75300円(時価総額890
0億円と評価されるのは、どんな理由で正当か?
この株価が正当であるという理由を挙げることができる人は、いる
でしょうか? 9500円で取引されているから、その価格だとい
うことしか言えない。
スペインの首都マドリッド郊外の、普通の住宅(100平米)は邦
貨で6000万円~8000万円でした。平均所得は年収で300
万円でしょう。
所得倍率では、20倍以上です。住宅ローンを組んで買える価格は
、所得の5倍、1500万円が正当でしょう。実際価格はその4倍
以上です。
20年分の所得を、飲まず食わず買わずで、全部つぎ込む価格です。
つまり、普通の所得では支払えない価格です。なぜそうした価格
があるのか。80年代にはなかった異常な価格が、なぜあるのか。
平均所得600万円の日本に置き換えて言えば、100平米の住宅
が1億2000万円~1億5000万円であることに相当します。
買えば、破産する価格です。
スペインの住宅価格が正当なかどうか。スペインだけではない。英
国、フランスもスペインほどの所得倍率でなくても、似ています。
わが国の不動産価格は、今、合理的な地代で説明ができるレベルに
下がっています。
ところが、わが国以外の世界では、インド・中国・西欧・アジア(
朝青龍のモンゴルですら)、そして15年も不動産が上がり続けて
いる米国を含み、不動産と株価が高い。
どう考えるべきか。90年代以降の世界的な不動産と株のバブルは、
なぜ起こっているのか、どう向かうか、これが本稿のテーマです。
本稿は14000字で、普通号の2号分です。まとめてお届けします。
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<Vol.216 特別号:
スペイン紀行(2)世界の不動産と株バブル >
【目次】
1.スペインの賃金と住宅価格
2.ユーロ高ではなくドル安だった
3.膨らむファンドと低いGDP成長率
4.安いと見られている日本の株価
5.分岐点
6.国際資金移動
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■1.スペインの賃金と住宅価格
▼2桁と高い失業率と賃金
スペインで、事務系に就職したときの初任給(少数の大卒)は、今、
およそ800ユーロ(約11万円)付近です。業界で初任給の横
並びという慣習はありません。敢えて平均化して言えば、です。
サラリーマンの平均の手取り給与では1100ユーロ/月(15万
円)くらいです。税込み、福祉費込みの年収に直せば約300万円。
商品につく付加価値税(VAT)は16%
賃金は、わが国の50%から60%レベルでしょう。失業率は2桁
を超えています。若年者(20歳~24歳)の失業率は、24%と
高い。4人に1名は、失業者です。
4年制大学を出ても、この国の特徴であるコネがない限り、就職は
難しい。失業率は、経済を計るもっとも重要な指標です。
ドイツを代表に、西欧諸国は総じて、2桁の失業率です。
言い換えれば、弱い実物経済です。
しかし目につくのは、ユーロ加盟後の住宅価格の高騰です。失業率
が高く賃金は上昇していないのに、物価と住宅は上がっているとい
うのがスペイン経済です。つまり歪みがある。どこから見ても、ス
ペイン経済が強いとは思えないのです。
▼住宅価格
首都マドリッド(人口約300万人)の、郊外中級住宅(面積10
0平米)は、邦貨で6000万円~8000万円もします。
大阪の約2倍。東京の郊外より高い。住宅を見ましたが、30坪の
中級住宅であり、8000万円の価値をもつ高級なものではない。
英国人、フランス人、ドイツ人、北欧の人々の夏冬の別荘としてど
んなに高く見ても2500万円でしょう。ありていには、1500
万円。
スペインに30年住む年配のガイドさんは、「あれよ、あれよと言
う間に、値段が上がってしまいました。一体、どうなっているので
しょうか?」と言っていました。
20年前の80年代半ばまでは、マドリッドの郊外住宅は1200
万円~1400万円(この国の賃金と比較し妥当な価格)だったと
言います。その5倍から6倍への高騰です。
普通の賃金で買えない住宅価格はバブルです。
合理的価格(基準)を超える価格のゆがみです。
フランス・ドイツ・北欧から太陽を求め、リゾート開発と投資が行
われ、一般住宅にまで玉突き現象を起こしたためですが、今の住宅
と不動産の価格は行き過ぎに思えます。
1500万円~2500万円が妥当な線と見れば、3倍~5倍近い
バブルでしょう。どんな性格のバブルか?
90年代は、わが国にとっては株と不動産バブルの崩壊(価格は数
分の1)でした。しかしわが国を除く外部世界(米国、西欧、中国、
インド、東欧、アジア)では、株と不動産は高騰していました。
■2.ユーロ高ではなくドル安だった
90年代末から2000年春まで、米国のIT株に向かっていた西
欧の投機マネー(年40兆円レベル)は、米国バブルを恐れ、20
0年春以降、西欧へ回収されています。ユーロに回帰した投機マネ
ーはユーロの内部で投機を生みます。
2000年の1ユーロは100円前後でした。西欧がドル債券と米
国のIT株を売ったため、米ドルは30%は下落しています。同じ
ことですが、ユーロは30%上がった。
円は、財務省の為替調整策で、米ドルに事実上リンクしているため、
今、1ユーロが140円前後です。しかし、店頭物価の感覚で言
えば、1ユーロは100円相当でしょう。
今回、スペインのホテルで夜原稿を書き、考えているときの発見は、
今は、1ユーロ=140円でユーロ高ではなく、通貨ではドル安
と円安と評価せねばならないということでした。
通貨は、国の経済を総合的にあらわす指標です。
ユーロの30%から40%の過剰評価のため、スペイン・イタリア
・フランスの物価は、日米から見れば、30%は高い。
しかし2桁の失業率に見るように、ユーロ諸国の経済は強くない。
海外へ行くとこうした視点が得られるのが収穫です。(注)失業率
と物価上昇率が、その国の経済の、もっとも重要な指標です。
世界の3大通貨についての判断は、以下です。
(1)財政赤字を、各国GDPの3%以内に押さえるという緊縮型
の通貨政策をとっていたユーロ。
従って、財政赤字を原因とする通貨価値の下落はなかった。
(2)国家としての経常赤字で、8000億ドルの米国。
従って価値を保ったユーロに対しドルの価値が30%下落。
(3)政府財政(国+地方)で、年71兆円の赤字を出す日本。
従って、ドル安につれ、ユーロに対し30%価値が下落。
マクロ指標を大きく見れば、以上の判断ができます。と言っても、
今回気がついたことに過ぎません。
わが国にいるときは、圧倒的に米ドルを基準に通貨を見ています。
西欧に行けば、彼の地の経済と照らしながら、ユーロを基準にして
米ドルと、極東の円が相対的に見えます。
■3.膨らむファンドと低いGDP成長率
はっきりしていることは、年々膨らんだ国際投機資金が、向かう先
が、(1)まず株価、(2)次に不動産の価格、(3)そして通貨
の高騰を引き起こすことです。
これが、バブル価格と上がりすぎた価格の崩壊を生む根本原因です。
価格の上げすぎ分は、GDP成長率を上回る価格上昇分です。実質
GDPが3%伸びるとき、3%の価格上昇は正当です。しかし、年
10%も上がるのは、異常です。
世界的な金余りと言われます。しかし金が余っているわけではない。
自分の財布を見れば分かります。金余りとは、実物投資に向かわ
ず、マネーでマネーを買う金融経済が肥大したことを示します。
90年代からの、もっとも大きな経済の変化です。
金で株を買う。債券を買う。国債を買う。不動産に投機する。資源
に投機する。いずれも、金を実物に使わず、金を生む利益を動機に
金融商品を買っています。金融商品は、預金、債券、株、証券です。
株を発行し売る(資金を集める)。社債を発行し売る(会社が借金
をする)。国債を発行し売る(政府が借金をする)人や機関がある。
金余りとは、資金を出す額と借りる額が増えていることを示します。
金融経済では、資金の出し手の出す額と、借り手の借金は同額です。
金余りとは債権と債務が、同時に膨らむことです。預金の増加は、
金融機関の借金の増加です。
もっとも高い率で増えた典型が、肥大したファンドという借金の集
合です。ファンドは借金です。誰かが、それを出し、誰かが借りて
いる。
ファンドの資金100兆円←ファンドへの投資100兆円
▼増えた投機資金:事例:ヘッジファンド
例えば、今、短期で激しく動く、世界のヘッジファンドの元本総額
は100兆円を超え、約1万本です。レバレッジ(信用借り)が組
み込まれて、運用資金総額では数百兆円になっています。80年代
にはこうしたものは、少なかった。
事例をいえば、1998年に、想定外のロシアのデフォルト(支払
い停止)で破産したLTCMは、元本の27倍の信用借りで運用さ
れていました。運用総額に対し、元本は3.7%しかなかった。
LTCMとは、LTCMを信用し、貸した人の貸し金の総額です。
【米系ヘッジファンドの元本の増加
:米Business Week誌05.10.24】
1995年 $2000億
1997年 $4000億
1999年 $5000億
2001年 $5500億
2003年 $8000億
2005年 $1兆 (05年6月末:米系で8219本)
10年で5倍に、年率平均18%で膨らんでいます。
ヘッジファンドは、年率で20%の利益の上がるところを求め動き
ます。投資対象は、通貨、債券、株、商品先物、不動産です。キャ
ピタルゲイン狙いの投機を行います。
【巨額化する年金基金(ペンション・ファンド)】
それにつれて動くのが、先進国の団塊の世代の高齢化を原因に、年
々巨額化している世界の年金ファンド(機関投資家)です。
19世紀は年金は一部貴族のものでした。20世紀は年金が大衆化
します。そして、世界共通の人口構成のゆがみ(ベビーブーマー)
によって、基金が増えてきたのです。(わが国の厚生年金基金は、
残額が150兆円です。世界では1000兆円以上でしょう。)
年金ファンドは、5%の利益が目標です。
ポートフォリオでの投資対象は、ほぼ同じです。
戦闘機、偵察機のようなヘッジファンドが先行し、その後を、航空
母艦のようになった世界のペンション・ファンドが追うと見れば正
確です。
▼ファンドが求める高い利回りの矛盾
ヘッジファンドなら年率20%、ペンション・ファンドは5%の利
回りを求めて運用されます。
これらのファンドが、世界経済(現在GDPで約4400兆円)の
ボリュームに対して大きくないときは、「投資や投機で先行するこ
とによる高い利益」を得ることができます。これが90年代末まで
でした。
ヘッジファンドに追随する人のマネーを食うことができるからです。
大海の中の魚であるときは、いいのです。餌が十分にある。
ところがファンド(運用マネー)が巨額化すれば、池(世界経済の
GDP)の中のクジラになります。現在のファンドがそうです。
クジラの体重を増やすために食べることのできる餌(追随マネー:
いわばプランクトン)は、相対的に少なくなります。
これが2000年代以降、起こっている、ヘッジファンドを含む、
ファンドの平均利回りの低下です。
(実物の生産・流通経済である)世界のGDPの成長率を、3%と
すれば、巨額化したファンドの上げる平均利益も、最終的には3%
でなければならない。
しかしヘッジファンドに典型的に見るように、利益での増加と元本
への組み入れを含む元本マネーは95年以降、年率18%で増えて
います。年金ファンドも、元本組み入れが増えますから年5%以上
で増えています。
ファンドが、世界のGDPの伸び率を超えて増えるということは、
投資対象に組み込んだものの対象物、言い換えれば(1)株、(2)
債券、(3)原油を含む商品先物、(4)不動産、(5)そして
通貨に、実需ではなく投機のバブル価格が生じることを意味します。
その、めぐりめぐった小さなあらわれのひとつが、マドリッド郊外
の住宅価格8000万円です。そして英国、フランス、上海の不動
産、モンゴルの不動産、インドの不動産と株、そして東京都心部の
地価です。
金融商品は、それを担保にすることによって、別の金融商品を生み
ます。つまり、金融商品にはマネーの総額を増やす機能が組み込ま
れています。国債を買えば、その国債を担保に借金をすることがで
きます。社債、債券、及び他の金融商品も同じです。
中央銀行がマネーを増刷しなくても、金融商品は増えます。
現在の世界経済は、その基底で、ファンドバブルの上にあるのです。
楽天の株価時価総額8900億円も、そのひとつです。
底値から、60%値上がりした日本の株価について言います。
■4.安いと見られている日本の株価
現在の日本の株価は、米国と西欧の株価に比べれば、50%は安い。
今の2倍(日経平均で2万6000円)の相対価値があると、米系
ファンドの一部は見ている感じを受けます。
相対価値とは、米国の株価を基準としてみたときの価格です。
その証拠となるのが、日本株の買い越しです。
03年の8000円から、現在の1万3000円付近まで上がった
原因は、はっきりしています。
日米の株式市場の時価総額を見れば、米国株の評価のされすぎが分
かります。
【米国企業の時価総額04年末】
NYSE(ニューヨーク証券取引所)の時価総額 1500兆円
米NASDAQの時価総額 400兆円
【日本企業の時価総額05年10月19日】
東証への上場企業の時価総額 443兆円
ジャスダックの時価総額 15兆円
日本経済の、2倍強のGDP(実物経済=生産・流通)の米国が、
なぜ株価の時価総額で、日本の4.2倍もあるのか?
当たり前に見れば、米国株が高すぎ、日本株が低すぎるということ
になるでしょう。
2001年以降、米系のファンドマネジャーは、米国株がもっと上
がるということから、米国株は高すぎ、利益を出せないという見方
に変わりつつあります。その証拠が、日本株の買い越しです。
▼急激なガイジンの買い越しとその原因
以下に示すように、ここ3年、ガイジンの25兆円を超える買い越
しによって、日本の株価の時価総額は、ボトムから200兆円の時
価総額分を上げています。こうした、海外からの「多額の買い越し」
は、見方の変更を示すものです。
【3年間のガイジン買い越し】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2003年の買い越し額 7兆6500億円
2004年の買い越し額 8兆2100億円
2005年の買い越し額 9兆円(推計)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この間、日本人〔金融機関、企業、個人)は売り越して、ガイジン
の持ち株比率は急増し、25%になっています。ガイジン持ち株が
50%を超えた会社も急増しました。
ガイジン(主として米系ファンド、05年夏からは、オイルマネー
を含む欧州系ファンド)が買い越す理由は、「日本の株価は、米国、
西欧に比べ、50%は割り安である」と見ているからです。
確かに、マドリッドの8000万円住と、どの肉屋でもぶら下がっ
ている蹄(ひづめ)のついた生ハム、そして平原の糸杉とオリーブ
畑をじっと眺めていると、日本株は、相対的に安いと思えるのです。
スペインの風景や住宅を見て、株価と不動産価格を考えるという無
粋なことをしていました。
▼ガイジンの観測
郵政民営化によって、郵貯220兆円、簡保110兆円の資金のい
くぶんかと、年金基金150兆円の一部が、株投資に向かうという、
海外筋からの観測も、日本株の買い越しを誘う要因になっています。
日本は、過去、政府が日本人の預金を使っていた。
今後は、株に向かうという見方もしている人も増えています。
預金という、他の金融商品の元本となるマネーを800兆円も持っ
ているのが日本人です。米国人の預金は500兆円に過ぎないので
す。
日本の株式市場の日々の売買額で、今、50%を超えるのが、ガイ
ジンの売買です。
日経平均の底値8000円(03年央)から、現在の13000円
付近(63%の上昇:時価総額で200兆円の評価の増加)は、2
003年から現在に至るまでの、ガイジンの買い越し総額である約
24兆円によるものです。
(注)日本人は機関投資家を含め一貫して売り越しです。
確かに、ガイジン買いが続くことができれば、つれて、現預金80
0兆円をもつ日本人の買いも誘発され、株価は4万円に向かって上
昇するかも知れません。
しかし日経平均が2万6000円になる前に、世界のファンドバブ
ルが崩壊するかどうか。「神のみぞ知る」と言えば、そっけがない
でしょうね。
問題は、高金利です。
ガイジンの見方は、日本は政府部門が1000兆円もの負債を抱える
ので、政府財政が破綻する高金利策、言い換えれば、マネーの供給を
引き締める金融政策は取れないということです。
従って、低金利が続く。そうすれば株はもっと上がるという見方です。
■5.分岐点
以下が、判断の分岐点です。
(1)世界のファンドバブルの根元(米国の株と住宅価格)が崩壊
しなければ、これから1年で、2万6000円に上がる可能性も高
い。
(2)世界のファンドバブルが、来年春ころから、将棋倒しで連鎖
し、崩壊すれば、日経平均も大幅に下がる。日経平均は4000円
という見方をするファンドマネジャーもいます。
8900億円の時価総額の楽天の株価が高すぎるか、または2倍の
1兆6000億円になってもいいくらい、安いか。
スペインの不動産、西欧、東欧、アジア、米国の不動産、そして、
世界の株価が高すぎるのか、価格を維持するか。
すべての評定は、
(1)世界のファンドバブルが続くと見るか
(2)バブルは続かないと判断するかにかかっています。
これを決めるのが、世界の金利動向です。
世界経済は、金融でリンクしています。
▼政府・金融当局は、バブルを続ける策をとる
米国の金融当局は、世界不況を招くことになるファンドバブル崩壊
を避けるためなら、通貨増刷の対策、
(1)つまり中央銀行からの貸し出しの増加(低金利策)と、
(2)債券の買いオペレーションの対策を打つはずです。
日本の金融当局も同じでしょう。
巨額化したヘッジファンドとペンション・ファンドが、運用で大き
な損を出せば、連鎖している世界の金融崩壊をもたらすからです。
そうすれば政変が起こります。政変を起こすのはいやですから、政
府は、金融崩壊を避けるための現状維持策をとります。
【Goal】
従って、結局(the goal)に、向かうところは、
(1)ファンドバブルを吸収するための世界の物価インフレか、
(2)または、通貨発行の抑制によるファンドバブルの崩壊と、世
界不況か、いずれかです。
世界のGDPは、実質ではせいぜい3%くらいしか増えません。し
かしマネーの総額は、名目数字です。政府の意思で、中央銀行はマ
ネーの貸し出しを増やせます。
増やしすぎたマネーが実物に向かうときは、増加したマネーと膨ら
んだファンドバブルがもたらす世界インフレです。
インフレとは、膨らんだ通貨の名目数字が、実質GDPと資産の実
質利回りにあわせて縮退することです。
・物価の側から言えば、物価の上昇です。
・通貨の側から言えば、物価の上昇は膨んだマネーの価値縮小です。
実物経済の量(GDP)とマネーの量は、一定値でつりあっていな
ければならないのです。
▼共産主義崩壊以降の世界
90年代から現在までの世界は、中国と東欧を含む旧共産圏が自由
経済化されたことによって、日米欧から、低賃金を求めた工場投資
が起こり、日用財での価格低下がありました。
日用財の過剰生産と輸出経済が旧共産圏諸国で起こったと言ってい
い。そのため、円・ドル、ユーロのマネー価値は上昇しました。
日用財の生産コストに対し、マネー価値は上昇しました。これが、
冷戦後の90年代でした。冷戦終結の果実は、物価の下落でした。
80年代までの世界のインフレ経済が、急転換したのが冷戦終結以
降です。
【世界】
90年代の世界の商品経済は、デフレ含みだったのです。
しかし、商品と資源が上がらない代わりに、株と不動産は上がった。
増えないGDPの割りには、[金融資産と金融負債」は、ますます
大きくなっていまス。誰かの金融資産は、別の誰かの金融負債で
す。
高騰した不動産と株に対しては、マネーの価値は下落したことにな
ります。つまり株、債券、そして不動産インフレでした。債券のイ
ンフレ、また低金利に債券が価格を維持することを低金利と言いま
す。
資源と商品は価格が下落し、株、債券、不動産が上がったのが世界
経済です。
【日本】
そうした中で、不動産、株、店頭商品の価格が、同時に、もっとも
下がったのが日本です。
日用財963品目は、92年から年率では約5%下落し、現在は5
3%の価格になっています。つまり店頭商品価格は半分になった。
住宅地は半分以下、商業地は5分の1に下がっています。
株価は、ボトムでは70%も下がっていました。
▼転換点か
04年から、世界の原油を含む商品先物価格は、高騰しています。
消費財の価格がさほど上がらず、資源価格が上がっているのが現在
です。
資源価格の急騰を、世界インフレの先駆けた兆候と見るか、ヘッジ
ファンドの投機が起こっていて、また下落する一時的なものと見る
か、判断の分岐点はここにもあります。
■6.国際資金移動
約10年の、国際資金移動を振り返れば以下です。
これが、世界に投機経済を生む原因になっています。
▼世界の不動産と株の高騰原因
(1)90年代:
日本のバブル崩壊とドル買い(ドル債券投資)
↓
(2)90年代後期:
西欧のドル買い(ドル債券投資+直接投資)
↓
(3)米国株の高騰
2000年3月までの、米国IT株バブル
米国の株価時価総額は、2200兆円レベルへ高騰
↓
(4)2000年から、西欧諸国は、ドル債券売り
ユーロへ回帰→ユーロ高へ
200年4月からナスダック株の崩落
↓
(5)2001年9.11のデフレショックを避けるため、米国は
低金利策をとる。
米国の住宅価格高騰が始まる。
↓
(6)2003年、日本の財務省は、米国のイラク戦費供給のため
30兆円のドル債券買い
↓
(7)インフレを恐れる米国FRBの短期金利上げにも関わらず、
日本と中国のドル債券買いのため米国長期金利は上昇しなか
った。
↓
(8)2004年から原油価格と商品先物価格高騰。
OPECは急増した貿易黒字を、西欧・米国の金融機関に預
けた。
↓
(9)2001年から、米国ファンドと西欧ファンドの一部資金が
日本の、不良債券資産(ゴルフ場:不動産)と、PBRの低い株
へ流れた。日本の株も、03年をボトムに上がった。
都心部の不動産も下落を止め、一部では高値になった。
米国のIT株で膨らんで、西欧に回収されたマネーの向かう先のひ
とつが、イギリスを含む、西欧の不動産でした。英国、フランス、
ドイツ、イタリア、スペインの不動産価格の高騰です。
スペインを含む西欧の不動産価格は、需給要因からではなく、マネ
ー要因で高騰しています。
西欧の賃金の上昇(生産性の高まり)を原因に、より高質な住宅を
求める需給の要因から、住宅価格が上がっているのではない。
膨らんだマネーが投機されるバブル経済であることを示しています。
スペインのような経済小国ほど、膨らんだマネー経済の影響は大き
い。スペインでは、銀行と観光は2大産業です。
(1)西欧の賃金の上昇率は低い。経済成長率も低い。
東欧への生産基地移転のためです。
西欧にとって、中国に相当する低賃金国が東欧です。
(2)日本と同じ小子化(合計特殊出生率1.15人)にも関わら
ず、住宅は高騰。ファンドの投機資金が流れ込むためです。
本稿では、世界のファンドバブルが崩壊するかどうかは「神のみぞ
知る」と、判断を留保しました。
確定的なことは、いずれ、ファンドバブルは崩壊せざるを得ない。
長期的に見れば確定です。
根底の理由は、世界のGDPに比べ、マネー総額の増加が大きすぎ
るからです。そのために、マネーの向かう先で急騰してインフレを
起こすものが、次々に出る。
しかし、問題は「その長期がいつか?」です。
何をきっかけに、どんな展開で、世界のファンドバブルが崩壊に向
かうか、ファンドバブルの崩壊は、どんな意味を持つのか?
▼均衡価格の歪み
株価にせよ不動産価格にせよ、現在価格は、均衡価格です。
買う人はもっと値上がりすると思っています。売りにまわる人は、
売る必要に迫られているか、またはいずれは下がると思っています。
両者の思惑が一致した点が、今の資産価格(均衡価格)です。
その均衡価格が、歪んでいるのかどうか、不均衡があるのか、その
判断が問題になるところです。
分岐点での将来見通しは、いつも、半々に分かれます。
分かりやすく具体的にいえば、日本の株価では、
(1)IT株として象徴的な楽天の8900億円の総時価は高く歪
んでいるのか、
(2)西欧の不動産の象徴とも思えるマドリッドの住宅8000万
円も高く歪んでいるのか、
(3)あるいは、そうではないのかという判断です。
皆さんは、どう判断しますか?
米国でもっとも高くなったNYマンハッタンの一部では、不動産価
格下落の兆候が見えます。以下、次稿で考察を深めます。
see you next week!!
【後記1:スペインの人々】
スペインでは不動産価格の急騰に対し、深刻に考えている人は、少
ないように思えました。「まぁ、いずれなんとかなるさ」と考える
のがスペイン流でしょうね。ラテンです。
スペインについて紀行として書きたいことは山ほどありますが、本
稿では、経済に絞りました。
【後記2 :再掲】
バルセロナの近郊、モンセラットの山腹の、修道院の庭には極彩色
のダリアが咲き乱れていました。石の壁には、無数の赤や青の蝋燭
に、灯りがともっていました。
世界のマネーの動きが今どうなっているか、素人にはなかなか分かりませんが、ドル、ユーロ、円で見るとユーロ高でドル安と円安が現状でしょう。だからユーロを持っている大金持ちやファンドマネージャーは、ユーロ高を生かして世界各地の株や不動産を買いあさっている。円やドルは日米の政府が大幅な財政赤字で信用を失っているからですが、日本の財政赤字は国内でまかなっているのに対して、アメリカの財政赤字はアジアからの投資でまかなっている形になっている。
90年代はドル安の回避先として円が買われて円の独歩高になりましたが、現在はユーロがドル安の回避先になっている。EUも決して好景気ではなく二桁の失業に悩み低成長なのですが、ユーロ高バブルで不動産がバブル化している。スペインのマドリッド郊外の住宅が8000万円では日本人もびっくりの価格であり、それが上海にも波及して5000万円のマンションが投資用として売りに出されている。
このように世界的に株や不動産が急騰を続けているのに、一般諸物価が安定しているためにインフレ感はありませんが、それはなぜだろう。それは90年代に入って旧共産圏が自由化したために安い労働賃金で商品が供給されるようになったからですが、そのために安い物価と資産インフレが同居して、80年代後半の日本のような状況が世界各国で現れている。
そのために世界各国は日本のバブル崩壊の状況を学んで、バブル崩壊を避けるために懸命の努力をしている。今から見れば日本のバブルは潰すべきではなかったというのが正解なのですが、当時の日本のエコノミストを始めとしてテレビのコメンテーターまで「バブルを潰せ」の大合唱だった。ところが現在のアメリカにしてもヨーロッパにしても中国にしてもバブルだからバブルを潰せというバカなことを言うエコノミストはいない。ところが日銀の三重野総裁はその馬鹿なことをやってしまった。
今から大蔵省や日銀を責めても仕方がないのですが、日本のエコノミストを始めとして経済学のレベルの低さは26日の株式日記にも書いたとおり、リフレ政策が世界の常識なのに未だに日本では構造改革派が主流を占めている。90年代にアメリカの政府要人から構造改革せよと強制されたからですが、実際に行われたのは銀行を潰す政策だった。その結果不良債権として処分された不動産は二束三文でハゲタカに売られた。
今現在のファンドマネージャーは投資の運用先に苦しんでいるようですが、株や不動産のみならず石油や金なども買いあさっている。しかし巨額になりすぎたファンドマネーはいつかは破裂するだろう。そして本当の大金持ちたちは現金のまま置いといて世界のバブルが崩壊するのを待っているのかもしれない。各国の政府はバブルが崩壊しないように懸命の努力をするのだろうが、世界経済の鎖がどっかで切れたら連鎖的にバブル崩壊は起きるかもしれない。その鎖の一番弱いところが中国だ。
中国で始まるバブル崩壊は投資をしてきたアメリカやEUにファンドの破綻をもたらすだろう。不動産はどんなに高くても次の買い手が現れるうちは回転が利いていきますが、回転が一旦止まると不良債権の山が出来てしまう。だからバブルになる前に投資を抑制すべきなのでしょうが、巨額なファンドマネーはそれを許さないからバブルはどうしても発生してしまう。
中国ではすでにバブルが崩壊し始めていますが、だから小泉首相が靖国神社を参拝したところで、中国はそれどころではなく経済対策に追われているようだ。このことは19日にも書きましたが日本のメディアは中国のバブル崩壊の事はあまり触れようとしない。NHKも昨日は「クローズアップ現代」でIBMのパソコン部門を買い取った人物を紹介していましたが、世界に進出する中国企業という放送をしている場合ではないのですが、親中国のNHKだから仕方がないのでしょう。


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