『中国が世界をメチャクチャにする』 ジェームズ・キング:著
「アメリカは強欲さから内部分裂するだろうとレーニンは言った。レーニンは正しかった」
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潰れたロックフォードの機械部品工場を中国企業が丸ごと買い取って中国に持ち帰っている。なぜロックフォードの機械部品工場が潰れていったかと言うと中国からの低価格の部品が市場に流れ込んできたからだ。それらの低価格の部品はアメリカから輸入した倒産会社の製造設備を使って生産しているから安く作る事が出来る。
日本の電子部品産業にしても、旧式化した製造設備をそっくり韓国や中国企業が買い取って同じ物を製造している。だから汎用メモリーも液晶パネルも情報家電製品もみんなパクられてしまった。図面ごとそっくりパクるからそっくりの製品が出回る。自動車産業にしても日本やヨーロッパ車との競争に敗れてビックスリーは次々と工場を閉鎖しましたが、閉鎖された工場設備は中国企業がそっくり買って持って帰る。
日本とアメリカとの経済摩擦は80年代から90年代の出来事でしたが、円高や自主規制でアメリカの製造業は何とか持っていましたが、2000年以降の中国からの格安製品の流入はアメリカの製造業に決定的なダメージを与えてしまった。最近では中国企業も資金力ができたから最新鋭の製造設備を日本やヨーロッパから輸入して品質も向上してきている。
アメリカのロックフォードは東京や大阪の下町にあるような機械工業部品の生産地だった。多くが数十人規模の中小企業であり自動車のエンジンを作る精密工作機械など高い技術力を持っていた。そこに中国企業が三分の一の価格で部品の販売攻勢をかけてきて、一つまた一つと伝統ある金属加工会社が倒産して行った。そして倒産した会社の機会や設計図や操作ノウハウを中国が買いあさっていった。
アメリカ政府はこのような国防上も影響のある中小企業を保護する事もなく見捨てて、300万人もの雇用が失われていった。GMやクライスラーが新世代の自動車が作れなくなったのは、このような中小企業が倒産してなくなってしまったからであり、GMやクライスラーは中国の安い部品で自動車を作るようになった。
ボーイング社も世界最大の航空機メーカーですが、安い部品は中国から輸入して組み立てている。GMやボーイング社のようなグローバル企業から見れば、国内で生産するよりも人件費がただのような中国で部品を作ったほうが合理的だ。中国は広い国土と膨大な人口を持つから自動車や航空機の巨大市場になる可能性がある。事実中国は世界一の自動車大国になった。
中国の自動車メーカーは400社もあるそうですが、自動車が国産化できるようになったのも早くからアメリカのメーカーの下請工場として部品を作ってきたからであり、アメリカのグローバル企業は日本やヨーロッパと対抗するには中国の安いコストで対抗する必要があった。だからアメリカは中国の人民元の切り下げにも協力した。80年代は1ドル2元が90年代には1ドル8元にまで切り下げられた。GMやボーイングにとってはその方がいいからだ。
アメリカ政府は国家戦略として製造業は切り捨てて金融立国を目指した。1997年のアジア金融危機はアメリカが仕掛けたものであり、アメリカ資本は倒産したアジアの企業を買いあさった。韓国の主要銀行はすべて外資に買収されて経済植民地になってしまった。物作りは中国や韓国や台湾に任せて金融で稼ぐのが一番効率がいい・・・はずだった。
しかしアメリカはバブルは破裂して金融立国戦略は破綻した。しかし製造業はロックフォードの例を見るまでも無く会社は倒産して熟練工もいなくなった。新製品を作ろうと思っても国内では作る事が出来ない。製造工場がいったん無くなれば元に戻す事はできない。工場は海外に自由に移転させられるが、人は移す事ができない。失業した熟練工は時給7ドルのウォルマートの販売店員になるしかなかった。
この光景は現在に日本で起きている光景と同じであり、トヨタやキヤノンといったグローバル企業は工場を中国に移転して国内は空洞化してしまった。経済的にはそれが合理的なのでしょうが、中国はアンフェアな国だ。技術を手に入れたら格安で販売攻勢をかけてくるだろう。NHKはアジアの巨大市場を手に入れるには技術を移転させていくしかないと言うのでしょうが、アメリカと同じ道を行けと言うのだろうか?
アメリカ政府は日本との経済摩擦ではアレほど居丈高になったのに、中国に対しては驚くほど寛大だ。ドルと人民元とのレートは低く固定されてもアメリカ政府は容認している。ボーイングやGMなどのグローバル企業が安い中国製部品を購入しているからという事ですが、アメリカのグローバル企業は中国の巨大市場に目が眩んでアメリカ国内の製造業を死滅させてしまった。
中国には自動車メーカーが400社もあるということですが、アメリカ向けの自動車部品工場が沢山あって、それらを組み立てれば中国国内でも自動車が生産できるようになったということなのだろう。それだけアメリカのグローバル企業は中国に対して気前よく資金や技術を供与して来た。アメリカ産業界は中国と手を組む事で日本やヨーロッパと対抗しようとしたのだろう。
ウォーレン・バフェット氏はアメリカの大投資家ですが、中国のBYDという自動車とバッテリーの会社に投資している。浜田和幸氏の記事に寄れば米中の協力体制はビジネスの現場で、猛スピードで進みつつあるということですが、その象徴的な出来事が中国の電気自動車メーカー「BYD」である。
BYDは1995年に出来たばかりの中国の新興企業ですが電池メーカーが自動車産業に進出してハイブリッドカーまで作り始めた。驚くべきスピードですが資金や技術はアメリカが供与しているのだろう。日本はまさにアメリカの資金力と中国の低コストに挟み撃ちにされて日本経済は長期停滞に追い込まれている。アメリカはなぜそれほどまで中国に肩入れするのだろうか?
先週は中国の国慶節で60周年の大軍事パレードが行なわれた。ユーチューブなどでも見ることが出来ますが、最新鋭のジェット戦闘機やアメリカまで届く東風31号という大陸間弾道弾ミサイルのパレードはロシアの軍事パレードを圧倒する規模だ。これらの近代兵器を製造する工業力はどうやって身につけたのだろうか? アメリカのグローバル企業が資金や技術を供与してきたのだ。
中国にもそれを受け入れるだけの体制があったということですが、バフェット氏を始めとしてアメリカの投資家たちは中国への投資に夢中だ。浜田氏によればBYDはドイツのフォルクスワーゲンと電気自動車の研究開発面で戦略的な提携をするようですが、日本のトヨタやホンダは将来どうなるのだろうか? 中国の低コストとヨーロッパのハイテクとが手を組めば脅威だ。
今月は東京モーターショーが行なわれますが、外国の自動車メーカーはほとんど東京もターショーには出展せず、中国の上海のモーターショーに出展している。もはや日本市場は世界の自動車産業からは素通りの状況だ。もはや中国は世界一の自動車大国であり、13億人の中国人が自動車を乗り始めれば石油がいくらあっても足りなくなる。
アメリカは戦略的に中国と手を組む事によって21世紀の世界をリードしようとしている。オバマ大統領もG2戦略を打ち出していますが、このことによってEUのユーロの挑戦を跳ね除けようというのだろうか? しかし中国はアメリカの思惑通りに動くのだろうか? その影で日本の存在感がますます希薄になり、東京モーターショーのように世界から無視されるようになった。
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