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March 25, 2017

庶民に徳が残り、勝ち組に徳がない国、ニッポン

教育勅語そのものより推進者の道徳が問題
道徳教育を推し進める人たちが「道徳」的でないために、道徳教育の価値が貶められてはいないか
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/122600095/032100005/?P=1

庶民に徳が残り、勝ち組に徳がない国、ニッポン

まだまだ低くない日本庶民の道徳レベル

道徳というのは、人の「道」を説く、教え込むということと、人間としての「徳」を分からせていくという側面があるという。「徳」が分かっていないと強い者勝ちになるし、ろくでもない人間が為政者になるから、民主主義社会では為政者だけでなく一般の人も「徳」を知る価値は高いだろう。

失業率は下がっているが、非正規雇用率や相対貧困率が高まり、日本が格差社会化しているのは確かだろう。多くの国で、格差の拡大は犯罪の増加につながる。しかし日本では、2003年くらいから強盗、傷害、殺人などの刑事事件はおおむね減少のトレンドにあり、殺人事件にいたっては年間1000件を切るようになっている。

 日本では物を置き忘れても返ってくるのでびっくりしたと、何回も外国人に言われたことがあるが、そういう点でも、少なくとも諸外国と比べたら道徳的なのだろう。東日本大震災の際の助け合いと言い、火事場泥棒のようなものの少なさと言い、むしろ世界の道徳の見本のように言われたのだ。

第二次世界大戦から従軍しなくなった日本の名家

 言い古されてはいるが、日本ではあまり流行らない言葉に「ノブレス・オブリージュ」という言葉がある。「高貴さは(義務を)強制する」というのが語源らしいが、社会的地位があるなら、それに対する責任が生じるという意味で用いられる。

 イギリスではこの考え方が浸透していて、第一次世界大戦では貴族の子弟に戦死者が多かったし、1980年代のフォークランド紛争でもアンドリュー王子が従軍している。アメリカでも大統領が徴兵逃れをしていたというと、それがすぐに批判の対象になる。

 日本の場合、日露戦争くらいまでは皇族まで従軍していたのだが、第二次世界大戦ではごく一部の例外を除くと内地勤務だった。それどころか、名門や高級官僚の家族も死なないような場所にしか派兵されなかったようだ。

アメリカでは、税逃れは徴兵逃れと同じ
アメリカが世界の警察、軍事大国であることを維持するために必須の道徳なのだ。

 前置きが長くなったが、現代社会におけるノブレス・オブリージュや徳というのは、ボランティア活動もさることながら、政治家のような為政者が財政規律を保つために無駄遣いをしないとか、富裕層や勝ち組になった人間が、国のために私有財産を差し出したり、貧しい人や困っている人のために寄付ができるかということだろう。

勝ち組が「徳」を見せないと恥ずかしい社会に

 日本人の一般大衆の犯罪の少なさや親に対する介護の義務感などを見る限り、「道」は世界的にみても誇れるものがある。問題は、勝ち組や富裕層が大衆に、寄付や高額納税などの「徳」を示さないことだろう。

 報道を見る限り、森友学園の理事長が「人格を磨き、さらに進んで、社会公共のために貢献」しているとは思えないし、また下村元大臣を含めて、お金にまつわって汚い印象を与えること自体が、「徳」の教育に反している。経営者にしても、例えば東芝の歴代経営者や震災前の東京電力の経営者の徳のなさが、会社の存亡につながったと言っていいはずだ。

 勝ち組が「徳」を見せないと恥ずかしいという価値観(日本にもかつてはあったと私は信じている)を再建しないと、子どもたちに示すべきロールモデルは作れないし、日本の格差社会や消費不況(金持ちが貯めるだけでなくもっと使ってほしい)の問題が解決しそうにないというのは私の杞憂だろうか?

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